96回目の甲子園。熱戦が繰り広げられております。2014/08/24は準決勝。大阪桐蔭と敦賀気比の熱戦の中、思うことがあり久しぶりの更新です。(ちなみに同試合は乱打戦w)
勝敗を分ける「外野手の違い」。
夏の甲子園にやって来るチームは、皆したたかなチームばかりである。高い野球技術と強靭な心身の持ち主ばかりが闘う中で、それでも勝者、敗者に分かれるのなら、おそらく理由は目には見えにくい部分の違いがあるのだろう。
そんなことをつらつら考えながら試合を眺めていて、ハッと気づいたことがある。
外野手の違い。
快音を発して弾丸ライナーが外野に飛ぶ。これは長打だなと思って、その通り定位置から外野手が打球を追っかけて長打を許しているチームはたいてい敗者になっている。
逆に、長打確信の快打を飛ばした打者が一塁をまわったあたりで、「なんでそこにいるの?」と、思わずボヤキを発してしまうような、そんな優秀な外野手が3人揃っているチームの多くが勝者になっている。Number
プロのゲームで特に思うことなのですが、外野手のポジションとかすごいと思うのですよね。よく「高校野球はほんと一生懸命で感動する!」という人がいるのですが、若さゆえの一生懸命さであって、職業野球の思考までを求めるのに無理があるのでして。
えてして、甲子園に出場できるようなチームは、学校やスポンサーからの支援があり、野球に集中できる環境もあり、監督やコーチも職業“監督”として、年収ん千万な人もあるわけですが、理知的な野球の思考を植え付けるには3年は短いのでしょう。プロのゲームなら、平凡な外野フライも、甲子園ではヒットなのです。なぜなら、そもそものポジションの取り方がまったく違うのです。
予測の精度
プロのプレーを見ていると、内野・外野ともユニフォームが汚れておらず、淡々とプレーしているようにも見えます。なぜなら高校時代にはできなかった思考が存在しているからと思うのです。
- 打者の癖
- 今日のピッチャーの調子
- 球場の広さ
- 天候
- ゲームの流れ
など、これ以外にもいろんな要素があると思うのですが、バッターと対峙しているバッテリー以外にも、野手全員にその思考があり、1球ごとに守備位置を変えているのですね。テレビ中継では映しだされないプロのワザがそこにあると思うのです。正確には、淡々とプレーしているのではなく、打球の先に先回りすでにされているので、へたにダイビングキャッチなどしなくても良くなるのです。したがって、高校野球では絶妙なヒットになるものが、プロだと平凡なフライに終わると。予測の精度が高ければ高いほど、野手は動かなくても良くなるはずです。
機動破壊ってすごい言葉やね
今大会健闘を見せた健大高崎のゲームは、いろいろと賛否があるようですが、これもスポーツの醍醐味ですね。
機動破壊――。
この美しくも恐ろしげな四文字を掲げ、快進撃を続けた健大高崎(群馬)の陰には、コーチの葛原毅(32歳)の存在があった。
葛原が言うには、走塁においてもっとも重要な要素は「スタート」であり、それを後押しする「心理的優位性」だと言う。
「たとえばけん制がもう来ないとわかっていたら、誰でもいいスタートを切れますよね。そこで投手がだいたい何球ぐらいけん制するものなのか、統計を取ってみたことがあるんです。そうしたら通常は2つか3つだった。3つけん制をしたら、4つ目はまずない。
それと同じような状況を、いろいろなところから見つけてくるわけです。基本的な盗塁技術は教えてますが、技術だけを見れば、聖光学院とかの方が上だと感じました」Number
同校のコーチの言う心理的優位性ってのは、高校生同士ならすごい打撃を与える戦術なんではないかと思われます。精神的には甲子園に出場している選手といえどもまだまだ子供ではあります。バッテリーだけじゃなく、野手全体に「走られる」「崩される」というプレッシャーが大きくのしかかったわけです。予測の精度を上回る心理戦だったと思います。
でも、一番の凄腕はNHKのカメラマンw
真面目に考えたのですが、その一瞬を逃さずフレームにおさめ続けるカメラワークってすごいですよね。で、スタンドの応援席のあれだけの数の観衆から、試合が動いた時の大歓声のなか、かわいい子だけを一瞬で狙い撃つ選球眼は、それこそプロのワザだと思いますw。